うましもの、おしたけ饅頭
「お火焚き」と書いて、「おしたき」と読む。
京ことばとして訛っているので、「おひたき」は「おしたき」「おしたけ」と呼び習わす。
その「おしたけさん」は、11月の市内各所の神社で行われている。
「お火焚き」は、新嘗祭を前にした「火祭り」なのである。
3日に道風神社、7日に貴船神社、8日は伏見稲荷大社、14日の新日吉神宮、
15日の御香宮神社、 16日のゑびす神社、20日の城南宮、22日の広隆寺、
23日の建勲神社、車折神社など、記しきれないほどに毎日のように市内の各氏神が控えている。
神社や寺院だけではない。火を扱う商家、町家でも、「おしたきさん」は行われていた。
洛中洛外図などにも、その様子は覗える。
総じて、火に感謝し、家運隆盛・商売繁盛を祈願していたのである。
そして、この日に、コタツや火鉢を運び出し、冬支度をする区切りの日でもあった。
その火祭りでの供物が、お火焚き饅頭・柚子おこし・みかん などである。
みかんはお火焚きの残り火に入れ、焼きみかんで頂くと、風邪をひかないとの民間信仰もある。
仙太郎のお火焚き饅頭には、「おしたけさん」の文字が残されていた。
新米で作られたおこしには柚子が入れられているが、柑橘系の果物が寒さの予防に良いとしていたのだろうか。
これが素朴な味を残している山川の柚子おこしと、鳴海屋のお火焚き饅頭である。
鳴海屋のお火焚き饅頭はオーソドックスに、紅白の饅頭に粒案・漉し餡が入れ分けられていた。
昔ながらの味のようである。
こちらは・・・井津美屋のお火焚き饅頭。
酒饅仕立のような上品な味が醸し出されている。
公卿らが食っていたかもしれないなぁ。
いづれの饅頭の皮にも焼かれた印があるが、これを「お玉」と呼ぶ。
「火」の象形文字である。
メルマガ「京都電脳新聞」 コラム”京に癒されて” もお読みください。
→→→→→→→→→→→→無料定期購読受付中←←←←←←←←←←←←