祇園祭神幸祭・三若祇藤会の魂は・・・
17日の昼下がり、富小路三条下るにある旅館「錦水館」に集う輿丁達がいた。
三若みこし会十会派の雄「祇藤会」の面々である。
ロビーの奥には、長老が揃い若衆の熱気を見守っている。
三若組奥田会当初からの顔ぶれである。
中央の棚に、妙な写真が掲げられ、お供えがされていた。
正に、祇藤会の前身、三若組奥田会の主宰者奥田哲郎と、
今日の三若の隆盛を取り戻した男たちの古びた写真であった。
そして、その一枚の古びた写真を取り巻くように、祇藤会若衆の写真が貼り付けられていた。
神輿洗の晩、神輿にも触れられず、遠巻きに眺めていた若衆の顔も見えた。
いよいよ出番だとばかりの明るく嬉しそうな顔である。
祇藤会会長源田は、若衆に今日の指図と注意をなし、玄関の塩を踏んだ。
見送る町内や道行く人の篤い眼差しの中、
鳴閂(なりかん)を掲げ、 鳴閂ならしの輿丁の一団は勇ましく八坂神社に入る。
今年、上坊は祇藤会に入会した。
初年兵になる上坊には撮影班の襷がかけられたが、
練習会に精勤した甲斐あってか、道中の鳴閂を掲げさせて貰っていた。
境内に入ると、800名を率いる三若の旗は大きく棚引いた。
奥田の指名で旗持ちとなった坂根の腕の見せ所である。
次代を担う三若神輿会本部の吉川副幹事長も実に満足げな表情を見せていた。
道中も、拝殿を回る間も、もう鳴閂を離したくないと言わんばかりだったのが、
山田である。
待ち遠しくて待ち遠しくて、この日のために一年があるのだろうと思っている筈だ。
練習も欠かさず、15日宵宮祭の御神霊遷にも、こっそり家を抜け出してきた男である。
その山田を見守るようにしていた千葉は、
三若神輿会吉川会長の挨拶に、 瞬きもせず聞き入っていた。
千葉は、今朝奥田哲郎の墓参りに出かけたという。
「今年初めて、おじきの墓を参らせてもらい、声を聞きました。
墓に掌をあて、そこに眠る魂を感じ涙が溢れました。
自分たちが受け継がなければならない事の本質が、 少し解った気がします。
しかし全て自分次第! いつまでも、熱く、正しく、本気でやる事を誓います!」
とは、千葉が小生のフィードのコメント欄に残したメッセージある。
激が飛び挨拶が終わると、赤襷の若中が堰を切ったように、神輿を拝殿から出した。
待ちに待った神輿に触れ、
拝殿を回される神輿と一体となって、上下に揺れている。
奥田哲郎の御霊は、盆を前に、祇園祭に帰ってきてるかもしれない。
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