桃花春
桃花春
とうかしゅん
同名の中華料理店が、かつて新京極花遊小路にあった。「桃園亭」「東華菜館」とともに創業者が北京の同村出身であり、それは皆、昵懇の仲だったという。「桃花春」だけが後継者不足に泣き、やむなく閉店した。90年近く前の看板を譲り受けたのが、親戚筋であり厨房で働いた経験もある同店のご主人である。「澄んだスープにするか濁らせるかの違いだけで、中華料理もラーメンも基本になるスープは同じ、鶏ガラと豚骨。それしか無いです。難しいことを言うことも無いですよ」。元より京都ラーメンの味は知りつくしている。「この看板は値打ちありますよ。僕の心にもね」。しみじみと看板を眺めて呟くご主人の言葉は、より深い味をこの一杯に注いでいる。
大衆中華の道も、大店中華の道も選ばずひとりで立ったご主人。今でも厨房では一丁の中華庖丁しか使わず、まな板は中国産のものである。元々は60cmはあったであろうイチョウの切り株で、減っては表面を削り…を繰り返し、大切に使っている
■京都市右京区鳴滝蓮池町12-6
075・465・3182
11:00~22:00/火休
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