京都の洋食(その16)
~私は「シーザー」も「コブ」も勘違いしていた~
今回はサラダである。今では居酒屋でもシーザーサラダぐらいいくらでも出すが、サラダが一般の食卓に出るようになったのは昭和45年(1970)以降だとか。
トンカツの付け合せの細切りキャベツは「サラダ」と言ったかな?
言ったような、言わなかったような。多分、言ってない。
トンカツに細切りキャベツを付けるのは「刺身のツマ」からの発想ではないかと思う。
それはさておき、まず自宅で食べる「サラダ」と称していたものはウスターソースかマヨネーズをかけていたはずで、子供の頃のわが家にドレッシングなんて「ハイカラ」なものはなかった。
私は子供のとき父親に怪獣映画を見に連れて行ってもらった帰りに食べに入った洋食屋さんではキャベツにウスターソースをかけていた。マヨネーズの記憶はない。
自宅にドレッシングを2種類以上常備している現在とはエライ違いである。
それにしても意外なのは、ビーフシチューというのは明治の初めには早くも洋食屋さんのメニューに出ているのに、単品料理としての「サラダ」が提供されたのは昭和24年(1949)だといううこと。逆でもいいような気がしますけどね。
昭和24年12月24日、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)の宿舎として接収された帝国ホテルでクリスマスパーティーにシーザーサラダが提供されたのが始まりだそうである。
シーザーサラダって、そんな前からあったのだな。私は近年のものだと思っていた。
ちなみに、これはてっきり「ジュリアス・シーザーが好んだサラダ」のことだと思ってたのだが、これはレシピを考案したシェフの名前がシーザーさんというのだと教えてもらった。まあ人の名前には違いなかったのだが。
それと関連して、京都の居酒屋のメニューで「コブサラダ」というのを初めて見たとき、「これは珍しい。昆布をサラダにするのか」と思い、注文した。
糠漬けにした昆布を細く刻んでサラダに混ぜるのではないかと想像したわけである。
でも出てきたサラダに昆布は入ってなかった。
これもレシピを考案したシェフの名前がコブさんというのだと教えてもらった次第。
ちなみに某有名メーカーが売り出したとき、シーザードレッシングに比べてコブドレッシングは少し高かった。「やや高級」イメージがあったのか。
私は二者択一を迫られればコブドレッシングに一票を入れるが、コブサラダというのはあまり頻繁に食べると飽きてくる。その点、シーザーサラダというのは意外と飽きないと思う。
このサラダというのも一旦定着してしまうと日本独特の発展を遂げることになった。
その話はまた来週。
【言っておきたい古都がある・326】