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    京に癒やされ

    祇園祭 異文化とのであい

    異端の新モノも時経てばいつしか古きものに

    山鉾はいったい我々に何を受け継げといっているのだろう。
    動く美術館とも言われる山鉾の神賑わいなのか、その美術館に飾られている往古の懸装品などの美術品なのか。
    勿論その両方と誰もが言うであろう。そして、それらに伴う高い技術ともいうであろう。
    間違ってはいない重要な使命のひとつであることに異論はない。

    しかし、果たして先人達はそれらだけを受け継いで貰いたいと考えていたのだろうか。小生には、決してそうとは思えない。

    もし往古の懸装品だけなら、鉾町の旦那衆の道楽と見栄の塊であって、ただの我が儘を後継の町衆に押し付けているだけのことである。そんなことを教えているとは到底思えないのである。
    先人として、これだけのことをやってきた。お宝として形に残しておくが、これを肥やしにして、これを更に超えた、町内の幾久しいイヤサカを願ったものだと考える。

    その気合、魂というものを山鉾に盛り込んでおくから、よく精進して励めと言っている様に写るのである。

    その理由のひとつに、応仁の乱を思い起こさずとも、先人達は形あるものが滅びることを百も承知していたはずである。
    ふたつに、現在に継承している山鉾は、それ以前の山鉾の精神を受け継いだが、姿形は元来の祇園御霊会の生き写しではなく、化育発展させている。
    三つに、ハレの場を迎えるにつけ、京都に集まる最高の技術と芸術を支援し、常に他国に誇れるものを進取創生することを惜しんでいない。

    つまり、祇園祭の山鉾を通じ、京の精神そのものを受け継げと教えているのである。

    古き良き資産を保存継承するには大枚の資金がかかり、その上に、新しき良きものを創造するには、更なる予算と智恵と決断が必要になる。

    今年(2010年)も復元新調された懸装品のいくつかがある。山鉾に取り付けしてから200年前後のものに傷みが激しいようである。江戸時代の文化・文政年間(1800年代初頭)のタペストリーや絨毯などである。

    鶏鉾・鯉山・霰天神(あられてんじん)山・四条傘鉾・役行者(えんのぎょうじゃ)山・孟宗(もうそう)山が各々の復元や新調を行ったと報じられていた。

    鯉山保存会では約630万円をかけ鯉山の前額水引(縦39センチ、横48センチ)2面を復元制作し、1987年から実に23年間に渡る懸装品全体の復元新調を終えた。
    16世紀のベルギー製タペストリーを使った見送や胴掛に合わせて、山の前面を飾る前額水引は濃淡がくっきりした緑色の葉の間に、ブドウなどの果物、淡いピンクの花が並ぶ刺繍で仕上げられていた。

    鯉山に初めてベルギーブリャッセル製タペストリーが取り付けられたのは、未だ鎖国時代の化政文化の華やかな頃である。西洋文化など目にした事のない町衆が、異質の文化を目にし、隣町に競うかのようにどんな想いで取り付けたのであろうか。

    鯉山が手に入れ見送りにしたタペストリーの図柄は、ギリシア詩人ホメロスの叙事詩「イーリアス」の中の「トロイア戦争物語」が描かれている。
    紀元前1200年頃のトロイ戦争を題材としたタペストリーは、全部で五枚の連作が日本に入っていて、うち2枚は加賀藩・江戸幕府の手に渡り、残りの3枚のタペストリーは会津藩を通じて京都の天寧寺に運びこまれ、天明の大飢饉(1782〜88年)のあとの財政難を補うべく換金がなされ、鉾町などの手に渡ったと聞く。
    タペストリー半分で金200両(現在の800万円ぐらい)という証文が残っているという話もある。

    三枚のうちの一枚、「トロイの王プリアモスと后ヘキューバを描いた図」が鯉山に渡り、もう一枚「トロイの王子エクトルとその后および子息との別離の場面を描いた図」は、「鶏鉾・霰天神山・長浜曳山祭鳳凰山に分割され、残る一枚「トロイ陥落の情景を描いた図」が白楽天山・大津祭の月宮殿山と龍門滝山に分割して使われている。
    兎角、中国の故事に因んだ題材で飾りものをつくり、その教養の高さを誇りがちであった町衆の粋に異変が起こり始めたのであろう。
    渡来人の文化を取り入れてきた歴史から南蛮人の文化へ、シルクロードを経由して中近東・欧州文化へと風流を求め始めたのである。
    ペルシャ絨毯にインド絨毯など、山鉾ごとに懸装品の風流はさまざまである。
    正に、この先人の神賑わいの継承と進取の精神こそ京都の精神そのものなのだと思う。

    復元新調された懸装品は山に取り付けられ17日の巡行を飾り、先代の懸装品は宵山の町会所に飾られる。いずれの山鉾も同様である。

    更に今年嬉しい銅掛の新調があった。復元ではない。
    先代の胴掛「仙人・貴女仙境図(1808年作)」から、亡平山郁夫画伯の遺作となった「砂漠らくだ行」を原画に、2600万円の制作費と2年の歳月をかけたつづれ織の胴掛で、202年ぶりの新調となった。

    山の側面を飾る胴掛(縦1・5メートル、横2・7メートル)の左は、駱駝の隊列が太陽の下を歩く「日」を、胴掛の右は月夜を進む「月」をテーマに表現されている。駱駝の首筋や背中を照らす光が見事に多彩で精緻な色を放っている。
    聞けば、日の光は420色に細やかに染められた金糸を、月の光には380色もの染めつけを使い丁寧に制作されたという。

    その「砂漠らくだ行」の「日」「月」の胴掛がかけられる山は孟宗(もうそう)山である。
    原画制作を平山画伯に依頼して7年が経ち、つづれ織にプロデュースしたのも孟宗(もうそう)山保存会なのである。

    シルクロードを行く図案を生涯描き続けた画家に着目し、最期の作品となる原画を胴掛にした孟宗山、この決断にエールを贈りたい。

    祇園御霊会の賑わいを、先人の風流に劣らないだけの質で、今を、将来を見据えた取り組みで臨まれ、新しいお宝をこさえられた。これぞ先人が受け継いで貰いたかったであろう精神ではないだろうか。

    古き良き時代のものを護り、新しくも良き時代のものを見つけ出し、育てていくことこそが京都の生き残ってきた道で、生き残ってゆく道だと教えられた気がする。

    ひょっとすると、もう少々はみ出して、変容しても許されるのではないか。

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