魅力再発見!“秘蔵”コレクションとの遭遇
滋賀県立近代美術館は《近代の日本画》《郷土ゆかりの美術》《現代美術》の3本柱で作品の収集を行なっています。この中には一作家あたり数十点を数えるまとまった規模のコレクションも多数含まれています。これらは数的にも質的にも、その作家の芸術をまとめて知ることができる貴重な作品群なのですが、残念なことに常設展あるいは企画展(拡大常設展)において「まとまった数」のまま紹介できる機会が乏しく、来館者にとって残念な状況が続いておりました。
本展は、このような「まとまった数」のコレクションをなしている作家にスポットライトを当て、館蔵品の新たな魅力を発掘することを目的とした企画展(拡大常設展)です。3つの収集方針の中から厳選した8名の作家に1人1室ずつスペースを割り振り、その作家の芸術を理解するために充分な点数の作品を一堂に展示いたします。いわば個性的な8つのミニ企画展の集合体であり、当館の作品コレクションをこれまでにない方向から照射する、画期的な企画であると言えましょう。なお展示作品点数は8作家トータルで約200点です。
展示内容
(1)『自在奔放!冨田溪仙の世界』
大正から昭和初期の院展で活躍した日本画家・冨田溪仙(とみた・けいせん。1879-1936)は、南画(文人画)や禅画をベースとしたデフォルメの効いた奔放な画風で知られています。作品約20点を通してその洒脱でユニークな世界を紹介します。
(2)『岸竹堂/動物画 ─幕末・明治の写実とは─』
幕末の彦根に生まれた近代京都画壇の先駆者・岸竹堂(きし・ちくどう。1826-97)は、迫力のある動物画を得意としていました。サーカスの虎に取材した鬼気迫る虎の連作をはじめ、動物画作品に的を絞って約10点を展示します。
(3)『湖北の画家・沢宏靱 ─悠久の自然のドラマ─』
滋賀県長浜市出身で創造美術(現・創画会)の創立会員でもある沢宏靱(さわ・こうじん。1905-82)は、戦後、単純化した構図の雄渾な画面に大自然のドラマをダイナミックに描き上げました。代表作約15点を展示します。
(4)『黒田重太郎 ─日本の洋画・土の薫り』
大津市に生まれ、昭和期の関西洋画壇の重鎮として画業に、そして後進の育成に活躍した黒田重太郎(くろだ・じゅうたろう。1887-1970)。日本の光、日本の風土に根ざした真に日本的な洋画を目指した彼の画業を、作品約15点で回顧します。
(5)『竹工芸・杉田静山 ─自然のリズムを編む─』
自然の律動を呼吸するように、竹で軽やかに編み上げる滋賀県野洲市在住の竹工芸作家・杉田静山(すぎた・じょうざん 。1932- )。日展や日本伝統工芸展の出品作を含む、約30点の代表作でその芸術世界をご堪能いただきます。
(6)『彫刻家ブランクーシの写真』
「抽象彫刻の父」と呼ばれるコンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)は、写真に興味を持ち自らのアトリエや作品を克明に撮影し続けていました。貴重な彼の写真45点を、彫刻の代表作「空間の鳥」と共に展示します。
(7)『オノサト・トシノブ 幾何学的万華鏡(ジオメトリック・カレイドスコープ)』
錯視現象を活用したカラフルな幾何学的作風で知られるオノサト・トシノブ(1912-86)は、日本の抽象絵画の先駆者であり、オプ・アートの代表作家です。1960年代から晩年に至る油彩・版画作品約40点を展示します。
(8)『加納光於/色彩と変容』
幼少期の幻覚や博物学の世界をベースに、繊細な詩情と鮮烈な色彩の抽象世界を作り上げた、現代日本を代表する画家・版画家の加納光於(かのう・みつお。1933- )。油彩の大作「囲いに沿って」をはじめ初期から近作まで約25点の代表作を展示します。
関連事業
■映画de美術館
内 容:美術に関する館蔵の16mm映画を上映いたします。
日 時:6月28日(日)・7月5日(日) いずれも午後2時から
プログラム:6月28日(日) 「甦る文化財─表装の技術」カラー48分
重要文化財指定の絵画や書跡を例に、具体的な修復の過程を丹念に紹介
7月5日(日) 「パブロ・ピカソ─天才の遺産」カラー90分 日本語字幕付
関係者の貴重なインタビューを満載。監督はマイケル・ブラックウッド
会 場:当館講堂
入場料:無料■たいけんびじゅつかん(親子で参加していただけるワークショップ)
「きかがくもようのアクセサリー」
日 時:6月21日(日) 13:30〜16:00
会 場:当館ワークショップルーム
定 員:30人
材料費:300円対 象:小中学生とその保護者(お子さまと保護者一緒にお申し込みください)
申込方法:往復ハガキまたはホームページから。6月8日(月)必着。
※ 大人の方は観覧券(団体料金600円)が必要です。
■開催日時:2015/6/13~7/20 9:30~17:00
休館日/毎週月曜日(祝日の場合は翌日)7/20(月)は開館 7/21休館
■開催場所:滋賀県立近代美術館 大津市瀬田南大萱町1740-1
■料 金:一般800円、高大生500円、小中生300円
■お問合せ:077-543-2111
■U R L:http://www.shiga-kinbi.jp/