無性にイタリアに行きたくなってきた
イタリアと京都、
道すがらにある、店のセンスや佇まい。
そういったものが近いのだ、きっと。
第四回 2008年1月
先月と同じような出だしであるが…10年ほど前に僕が編集したムックに「京都・大阪・神戸 レストラン&ワイン 最前線」というのがある。
その時の巻頭でピックアップしている京都イタリアンの面子を眺めてみると、「イル・パッパラルド」「ディボ・ディバ」「カーサ・ビアンカ」「トラットリアみのうら」「プリンチペッサ」「トラットリア フジイ」「アペルトゥーラ」「オステリア・ペントラ」「カーネガット」。ふむふむ、という感じじゃないだろうか。と思うと同時に、京都は時代の気分として’90年代に「良いイタリアン」に恵まれた街だったとも考えられないか?
その答えが、今回の特集のラインアップとしてあると言っても過言ではないだろう。
祭の時は毎日のように出かける祇園界隈であるが、本誌編集部も事務所もいわゆる御幸町以西である。気軽に…というわけでもないので、「キメラ」「ギオットーネ」「t.v.b」といったところにはなかなか足が向かない(というか手が届かない?)。で、最近のお気にいりは「タヴェルナ・イル・ヴィアーレ」「コチネッラ」「ryuen」(どこも事務所から歩いて10分! でも、どの店もいろいろと考えたメニューが出てくるし、本当、気に入っています)。正直いうと3軒とも安いとも高いとも言いにくい値段設定なんだが、逆に言えば絶妙な料理の値段の付け方である。そして、何よりも美味しいワインを適正な価格でドロップしているのが素晴らしい。値ごろ感で言えば、ワインのチョイスは10年前に比べると数段レベルが上がっていると思う(もちろん「カーサ・ビアンカ」の那須さんの痺れるようなイタリアワインのチョイスは健在です)。
う〜ん、なんかイタリアン好きがバレバレで困るが、どうして京都人はイタリア(なるもの、的なもの、そのもの)が好きなんだろうか? あんまり良い思い出ではないのかも知れないが、太平洋戦争でも同盟国であったし、イタリアのことを悪く言うのを、おちょくり話でも京都ではほとんど耳にしない。
些細な疑問であるが、それはそれでなるがままに受け止めてもいいんじゃないか? 解が無いまま話を進めると(なかなかラテン的でしょ?)、フィレンツェに行った時(まだR・バッジォがいました)、グッチの本店や、マルチェロ・マストロヤンニがしているという手袋屋(すいません、ネーム忘れました)、そしてファルマチア・S・マリア・ノヴェッラ…。どの店も不思議と京都の道すがらにある「宮脇賣扇庵」などと同じ匂いというか、佇まいみたいなものを感じたのを覚えている。ローマはローマで、コロッセオとかがボッカ〜ンと現れるあの感覚は本願寺なんかに近い。トレビの泉は、六角堂や錦天満宮的なポジショニングという感じ。
う〜ん、夏にパリにいってきたけれど、そんな感じ方は全くしなかったな〜。なんて思うと、無性にイタリアに行きたくなってきた…。ま、しばらくは、京都のイタリアがあるからいいか。