誕生・・・・いま
2004年、シカゴプードル誕生の瞬間をCFはこう伝えた。
学生の熱源で動いてきた彼ら
そのパワーが社会に放たれた
「シカゴの『シ』って聞こえたところで、もうガッツポーズで飛び上がっていましたね。実は後から考えてみると、他にも「シ」の付くグループがノミネートされていたんですけど(笑)」と、昨年行われた第1回京都学生祭典「全国学生音楽コンテスト」でのグランプリ発表の瞬間について振り返るメンバーたち。
このグランプリの獲得を機にインディーズデビューへと進んで行った彼らシカゴプードルのファーストアルバム「White mini album」が7月7日こ発売される。このアルバムのラストの納められている「Baby my ‘Jenny’」が京都学生祭典の’出場曲でありバンド結成のきっかけのもなった。グループにとって大きな意味をもつ一曲だ。
在学中にキーボードヴォーカル・花沢氏の作ったこの曲にギター杉岡氏が詞をつけ.それをバンドで演奏したいという思いからスタートしたシカゴプードル。何度かのメンバー交代を経て、ベース・辻本氏、ドラム・山口氏が加わった現在、メンバー4人全員が同志社大学出身者だ。
「学生」という一つのきっかけのもとにメンバーが集まり、デビューへの道が開けた彼ら。その音楽を「自己満足」の楽しみから脱却させたのもまた、学生たちのメッセージを発動源にする「ワタシ流イマジン」への参加がきっかけだった。21世紀の夢や希望を学生たちがフレーズに寄せ、曲にすることで世界の人々の心に響かせようというこのプロジェクトで、メンバーは音楽を社会へ向けるものとして捉えるようになったという。こうしてアルバム「Whitemini album」では、心をなでるようなヴォーカルにあわせて、切ないメロディーラインがつづく。そして「学生」というきっかけから飛び出した彼らが、次に意識しはじめたのは「京都」という特別な空気。それが彼らの中に吸収されたとき、どんな想いとなって聞く者の心に届いてくるだろうか。
そして、2009、こんなに育ちました。
名人芸のように、リフレインするメロディ
爽やかさに隠れた底力はダテじゃない
歌詞が素晴らしい。ケレン味が無くはないが、イヤらしくない、よく考えられた歌詞だ。ところが、絶対的なメロディがあるからあまり目立たない、ある意味、贅沢である。
さて、それを誰がつくっているのか? 時は'03年、記念すべき第一回目の「京都学生祭典」勝ち抜きバンド合戦、二次オーディション(実技)での出来事。「落ちた…」とメンバーが心の中で口を揃えているところ、一人だけ「獲ったな」と確信したのが花沢だった。「演奏技術ウンヌンじゃなくて、メロディで考えたら負けた気がしなかった〈花沢〉」。「祭がどうとかより、優勝賞金100万円に見事に食いついた(笑)〈辻本〉」のがエントリーの理由だった割には見事に優勝を果たした。即、現在のレーベルに所属、以来5年間はインディーズ暮らしだった。担当者曰く「ステージングが悪かったし、全国のインストアライブに回って、基礎体力をつけさせた」。その間、いくつかの危機も迎えたが、MCが苦手で「曲間恐怖症」だったという花沢も、今はよく回る舌でこう語る。「FM地方各局を回ってパワープレイに選んでもらって、自分たちの音が日本のサイズで語られるのは大きかったし、ライブハウスでも皆さんが本当に親身に相談にのってくれて、『君たちは音楽をやりなさい』って言われているような気がした」。メジャーに打って出る意味も不透明な時代に、そういう思いを身体に蓄積したバンドは強い。
辻本は言う。「同志社や立命には音楽サークルが多い。みんな厳しい受験戦争中は音楽を我慢して、大学に入ったら思いっきり音楽をやろう!という気風がある」。その初志のようなものは、今もモチベーションやポテンシャルとしてあるだろう。
山口はこう言う。「王道漫才みたいな存在がいい。阪巨師匠(オール阪神巨人をこう呼ぶ。ツウである)みたいな」。さしずめ良くできた歌詞はネタ、抑揚を生みつつ、よどみなく流れるメロディはテンポや間の良さということか。それはタイアップに頼らない、ぽっと出ではないという自負でもあるだろう。
なるほど。昨日のネタに思い出し笑いをするように、翌朝、頭の中でこの曲がリフレインしているのは、その実力の証左だったか。
ODYSSEY╱Chicago Poodle
タイトルは意気込みかというと、意外とそうでもなく、インディーズで9枚もリリースしているキャリアの集大成と考えた方が良いだろう。とは言え、ピアノ・ベース・ドラムの3ピースにギターソロもストリングアレンジもあり、複雑だが確実に耳に残るメロディラインは乾坤一擲な力作と言える。敢えて一言で特徴を言えば、「ムッツリ爽やか」
これが2010。
GTBT~ CHICAGO POODLE
CD (2010/10/6)
曲目リスト
1. Is This LOVE?
2. PEACE!!
3. 心キミ模様
4. No Regret
5. 愛と呼べる言葉(もの)
6. Fly ~風が吹き抜けていく~
7. 30
8. 雨上がりのバラッド
9. film of life
10. アイノタネ