名物・自家窯焼き北京ダックで新年会 /創作中華 大傳月軒
店名の大傳は「大工の傳兵衛さん」から名づけられたという。
「大工の傳兵衛さん」とは、数奇屋大工として名の知られた「北村傳兵衛」のことである。
その傳兵衛さんのお屋敷(旧北村傳兵衛邸)が、この「創作中華 大傳月軒」の店舗となった。
古い洋館と町家が融合した異国情緒溢れる雰囲気にノスタルジーを覚えさせられる。
古き佇まいを損なわず改装修理するのに1億円を要したという内装と設備が懐かしさと新鮮さを共存させている。
場所は木屋町高辻である。
東の窓の向こうには、清水寺三重塔、八坂の塔、霊山観音が、東山の峰々とともに眺められる絶好のポイントである。
さてさて、どんな創作中華がいただけるのか・・・。お目当ての・・・北京ダックから紹介してみよう。
自家製釜でこんがりと焼き上げられた北京ダックを手に・・・シェフ海老名健二さんの登場である。
海老名さんは関西の高級ホテルの料理長を歴任された後、大傳月軒京都店の料理長に就任されていた。
ホテル時代にClubFame誌にも取材してもらったことがあるとのお話を聞いた。
いきなり親近感を抱くことになる。
見事な包丁さばきが披露されたところで、皿にのった北京ダックを頂くことに。
もっちり、しっとりとした生春巻きの包み皮に北京ダックをのせ、甘辛い中華味噌をスプーン一杯分ほどに塗りのばす。白ネギときゅうりの短冊をはさみ、くるりと巻き込む。あとは口に運ぶだけである。春巻き皮の甘さがほんのりとわかるデリケートさもある。
大傳自慢の北京ダックは2日かけて焼かれる。五香粉などのスパイスが染み込み、しつこさのない皮と脂身は絶品である。
薄皮のパリッとしたのを味わいを楽しむ北京ダックが多い中、大傳は鳥肉が少し付けて切られているので、鳥肉の味わいも楽しめる。噛むほどに口の中に広がる香ばしさと旨味が広がるというのに、パクパクと食べてしまった。
それでも充分旨いのだが、再来店しなくてはならなくなった。
これは、堪らないほどのとろみが楽しめる具沢山のフカヒレスープである。
フカヒレの切り身の大きさでお値段は変わるのだが、正月とあって奮発してみた。
大きな切り身を頬張る醍醐味が楽しめた。
こちらは、韮まんじゅう。
そして、豚の角煮、蒸し海老、なんと豆腐でこさえた麺もあるではないか。
トロサーモンにピリ辛ソースも合うものだった。
どれも念入りに作りこまれていた。
フカヒレの切り身の大きさに驚かされたが、渡り蟹の食材が使われているのにも二度驚いた。
渡り蟹といえば、なかなか手に入りにくい高級食材である。
足は丸ごと揚げられていて、外はカリカリ、中はまったり。香菜(シャンツァイ/コリアンダー)がよく合う。
シェフの特別メニューだった。
大海老のピリ辛チリソース。ハバロネが丸ごと一個煮込まれている。これも食べるのだろうか・・・。
食べようとすると、スタッフが止めたほうが良いという。ソースに充分辛味は落ちてはいそうだが、丸ごとかじれば口の中も喉も食道も火の海になることは間違いなさそうである。
この太身の大海老がプリプリと新鮮な身で実に旨い。今日一かもしれない。
土鍋が運びこまれた。中に蛤がうかがえる。蛤の汁ソバであろう。
蛤のやさしい甘さを残した出汁によく煮込まれた中華麺が絡む。
豆板醤も良いが黒山椒などがより合うかもしれない。
飯ものがほしくなったので、ネギ炒飯を注文する。
山盛りのネギとニンニクのスライスで炒飯が埋もれているではないか。かに玉のスープがついてきた。
丁度いい塩梅である。
そして、デザートは杏仁豆腐と桃饅頭である。
卯年新年会はこうして創作中華で幕を開けた。
シェフ海老名健二さんのご馳走に感謝して、今年こそ医食同源の食事を心がけたい。
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