杉本博司 趣味と芸術―味占郷 / 細見美術館
杉本博司は、代表作<ジオラマ>、<劇場>、<海景>といった写真シリーズで世界的に知られる現代作家です。
一方で、古美術商の経験を持ち、日本美術にも大変造詣が深く、三十三間堂の千体仏を写した<仏の海>をはじめとする日本の伝統美を自身の写真に取り入れる作品も手掛けています。さらには、2003年より世界各地を巡回した展覧会「歴史の歴史」において、自らコレクションした古美術品と自作を組み合わせたインスタレーションも試みています。まさに、現代美術の世界で古きものに新たな生命を注ぎ続けている作家と言えるでしょう。
本展「趣味と芸術」では、平安時代から江戸時代の作品を中心に、西洋伝来の作品、昭和の珍品を含む杉本コレクションで27の床※ のしつらえを作りあげています。これは『婦人画報』で連載された「謎の割烹 味占郷」の中で、杉本が各界の著名人をもてなすために、毎回そのゲストにふさわしい掛軸と置物を選んで構成した床飾りを再現したものです。同時に、「趣味」として収集した古今の名品・珍品を組み合わることで、新たな「芸術」をも生み出そうとしています。現代美術の枠を超え、活動を続ける現在の杉本をご覧いただき、この作家の魅力と奥行を十分に味わっていただければと思います。
杉本博司
1948 年東京生まれ。立教大学経済学部卒業後、1970年に渡米。ロサンジェルスにあるアート・センター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学び、1974年よ りニューヨーク在住。現代美術作家として活動するかたわら、1979年から10年間ニューヨークで古美術店を営み、個人でも古美術品を蒐集。2003年か ら蒐集品と自身の写真作品を組み合わせる表現活動を展開する。代表作に自然史博物館のジオラマを撮影した「ジオラマ」シリーズ(1975年~)、全米の映 画館などで撮影した「劇場」シリーズ(1975年~)、世界各地の海を同じ手法で撮影した「海景」シリーズ(1980年~)などがある。近年は建築プロ ジェクトを手がけることも多く、さらに文楽、能といった古典芸能の舞台美術や演出など、様々なシーンで活躍。1988年毎日芸術賞、2009年高松宮殿下 記念世界文化賞、2010年紫綬褒章、2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ、2014年第一回イサム・ノグチ賞等受賞多数。主な著書に『苔のむすま で』『現な像』『アートの起源』(新潮社)、『歴史の歴史』(新素材研究所)、『空間感』(マガジンハウス)がある。
【関連イベント】「華厳滝図」「月下紅白梅図屏風」特別公開
杉本博司の作品のうち「華厳滝図」「月下白梅図屏風」の特別公開を行います。
茶室「古香庵」の空間とともに、両作品のしつらえをこの機会にお楽しみください。
※作品保護のため、予告無く作品がご覧いただけなくなる場合があります。
※公開日は変則的となっております。あらかじめご確認ください。
公開日:4月16日(土)☆★/4月19日(火)~22日(金)☆/4月23日(土)~5月8日(日)☆★
5月10日(火)以降の平日☆/5月21日(土)以降の土日☆★
※☆…「華厳滝図」★…「月下白梅図屏風」
時間:11:00~17:00
会場:茶室「古香庵」(細見美術館 3階)
☆★☆★ 杉本博司 趣味と芸術―味占郷 ☆★☆★
■開催日時:2016/4/16 ~ 6/19 10:00~18:00
休館日/月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日休館)
■開催場所:細見美術館 京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
■料 金:一般1200円 学生1000円
■お問合せ:075-752-5555 info@emuseum.or.jp
■URL :http://shunga.emuseum.or.jp/